アメリカという国は、政治・経済・軍事力・影響力など、あらゆる点で世界のトップに立っている国です。 それはFXという世界でも同じで、アメリカ国内の動向には、いつも多くのトレーダーが目を向けています。 アメリカが発表している経済指標の中に、“米国雇用統計表”というものが存在しています。 どれほど重要な指標なのか、そして発表されたとき、FX相場はどんな動きを見せるのか、FX初心者でも、これは必ず知っておきましょう。 後々、必ず役に立つ知識だと約束します。
目次
米国雇用統計表は、世界一のファンダメンタルズと言っても過言ではない
米国雇用統計表は、毎月第一金曜日に発表されている、名前の通りアメリカの雇用に関するデータを表した指標です。
アメリカにおけるいろんな業種の帳簿などを参考にして、雇用状況のデータは弾き出されています。
簡単に言えば、アメリカにある無数の事業所の中で、どれだけの人が雇用されたか、職を手に入れたかということですね。
この雇用統計表は別名“米国非農業部門雇用者数統計表”とも言われています。
つまりこの雇用データには、農業に従事している人のデータが入っていないということです。
農業は、天候要因などによって起こる異動が激しく、その市場の実需を把握しにくいため、雇用時計には不向きとされているからです。
雇用者の数が多いほど、アメリカの事業所は、それだけ多くの給料を支払っているということになります。
ですので、個人消費や税金が増大していき、アメリカが潤って景気が良くなっていくのです。
逆に雇用者が減れば、アメリカの景気は少し下降気味だと判断されます。
アメリカの雇用者数が、前月より1万人少なかったと仮定します。
ということは、単純に日本円で考えて月20万円の給料だとした場合、アメリカの事業所全体では、20億円もの給料が前月より減ったことになるのです。
もちろん、給料は消費することがほとんどなので、それだけアメリカでお金が回らないということが、どれだけ大きなことか分かると思います。
この指標で、アメリカの経済の状況が分かるということは、FXでももちろん生かすことができるということですね。
米国雇用統計表が発表されたとき、FX相場はどういう動きをする?
米国雇用統計表が発表されたとき、FX相場は大きく変動します。
それだけ、世界中のトレーダーにとって、アメリカの景気というのは大事な情報だということの表れでしょう。
指標の発表前には、世界中のトレーダーがチャート画面の前に張り付いていることでしょう。
発表によって大きな影響が見られる
もちろん、雇用統計の発表時に、他のファンダメンタルズがかぶってしまうこともありますが、雇用統計だけでも、大きな影響を与えることには変わりないでしょう。
変動の幅は、大きいときでは80pips程度変動することがあります。
動きが少ない場合でも、20pipsぐらいは、変動することを予想しておくべきでしょう。
トレーダーは、1ヶ月のアメリカにおいて、様々な情報を集めます。
他のファンダメンタルズや、随所で公開される雇用系の情報などを頼りに、“来月の雇用者集は、大体これぐらいだろう”という数値を、予想しておくことが大事です。
大きな変動が起こることは、ほとんど間違いないわけですから、その波に乗らない手はないでしょう。
第一金曜日は、大きな利益か大きな損失、どちらかが待っているということを忘れないでください。
そして注意するのは、“発表前にポジションを建てない”ということです。
一気に自分の思惑と違う方向に、FX相場が動いてしまうかもしれません。
利益確定売りから抜けたあとに、確率の高い利益を得る方法もある
また、米国雇用統計表が発表されても、慌てて動かずに、一旦FX相場を静観するという手もあります。
先ほど言ったように、事前に雇用に関しての情報を得ている場合もあります。
ハッキリした雇用統計ではないにしろ、雇用状況が回復している、またリストラの数が増えているなどの情報は、得る可能性があります。
それに柔軟に対応して、指標の発表前にポジションを建てることもあります。
これは結構な冒険ですので、FX初心者にはあまりオススメはできません。
FX会社によっては、雇用統計が発表されると、売り買いポジションの間にスプレッドの差が大きく出る場合もあります。
最低水準が0.3pipsの米ドルが、0.6pips等大きく広がる場合も考えられます。
こういう場合には、なるべくポジションを持たないようにします。
ポジションを建てた瞬間、損失が出ている状態からスタートするようなものですから、トレーダーにとっては非常に不利な状況です。
雇用統計の影響で、FX相場が上昇した後、またすぐに下がってくる可能性が高いのは、利益確定の売りが殺到するからです。
ここまで静観して、売りの殺到を抜けたときが、このFX取引における“穴場”のような売買ポイントです。
利益の額は少なくなってしまうかもしれませんが、損失の確率は、発表の真っ只中より確実に減りますので、1度は狙ってみてもいいかもしれません。