FX相場に影響を与える指標は、何もアメリカの発表するものだけではありません。 日本には“日本銀行(日銀)”という、金融政策を発表する中央銀行が存在します。 日銀が行う重要な任務として、“日銀金融政策決定会合”があります。 トレーダーの中にも、この会合での決定事項を待って、FX取引に生かそうという方は少なくないのではないでしょうか。
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日銀金融政策決定会合は、2013年以降特に注目度が高くなった
日銀金融政策決定会合は、簡単に言うと日本銀行における政策委員会によって、金融政策についての話し合いがされることを言います。
話し合いをされる内容は、公定歩合、基準割引率、金融市場における介入や調節など、多岐に渡ります。
会議の様子などは公開されていませんが、その後に記者会見が行われて、決定事項についての説明がされます。
経済指標としては非常に重要度が高く、評論家やプロのトレーダーの間でも、“最重要度”の発表に指定されることが多いです。
日銀金融政策決定会合が1番FX相場に多大な影響を与える
日本の経済指標では、それほどFX相場に大きな影響を与えるものは存在しません。
ですので、日本という規模においては、日銀金融政策決定会合が、1番FX相場に多大な影響を与えるものだと言っても過言ではないでしょう。
毎月1回~2回、11時~15時の間に発表されるため、日本人にとってそれほどチェックしにくい指標というわけでもなさそうですね。
兼業トレーダーにとっては、あまり好都合な時間ではありませんが、真夜中に発表される海外の指標に比べると、チェックしやすいですよね。
この日銀金融政策決定会合が特に重要視されるようになったのは、2013年以降だと言われています。
2013年に発表されて日銀金融政策決定会合では、インフレ目標、マネタリーベースなどの分野において、“異次元”とも言える驚きの発表が連発されました。
一般的に、発表時間が少し遅いときには、何かFX相場を揺るがすような大きな発表があるのではないかと言われています。
2013年の日銀金融政策決定会合は、FX相場にどんな影響を与えたの?
日銀金融政策決定会合は、ハッキリ言って、毎回発表されることが違います。
ですので、この指標はFX相場にどのような影響を与えるものかは、断言できない部分があります。
それでは、先ほども紹介した2013年の“異次元”とまで言われた発表について、解説していきたいと思います。
黒田砲と言われるインパクトの強い発表
日銀の黒田総裁が発表した、非常にインパクトのある発表だったため、のちに“黒田砲”とまで言われるようになった、政策決定会合です。
いくつか決定事項はありましたが、中でも最もインパクトが大きかったのは、“マネタリーベースの増加”と、“インフレ目標設定”にありました。
マネタリーベースとは、日本銀行が供給している通貨のことで、その通貨を2年間で倍にするという、とても思い切った政策が打ち出されたのです。
当時、重要な金融政策が発表されるということは、ある程度予想できていたトレーダーも多かったようです。
しかし、ほとんどの政策が、それを上回るほどの大きな決定事項となったのです。
そしてアベノミクスの効果もあって、円安の傾向が進んでいた中での発表だったので、円安はどんどん進んで行く形になりました。
2013年の4月4日前後の米ドル円相場では、92円台から“黒田砲”の発表後、4時間で95円台という値を付けています。
この3円のという価格は、FX市場への為替介入でも、なかなか操作するのが難しいほどの額です。
おそらく、日銀総裁の発言でこれほどFX相場が変動するという事態は、これが最初で最後ではないかと言われているほどです。
金融政策をいくつも発表すると、かえってFX相場は、大きな動きを見せないと言われています。
いろんな要素が複雑に絡み合うので、どれか1つの情報だけに流されて、FX相場が大きく動くことは考えにくいからです。
こういう2013年のような場合だと、トレーダーは慎重に行動することが多いでしょう。
また発表だけではなく、要人発言、日銀金融政策決定会合の場合だと総裁の発言が、FX相場に影響を与えるというのは、これから先もあり得ることでしょう。
12時半~13時ごろに発表される場合が、1番判断が難しい
先ほども少し触れましたが、日銀金融政策決定会合の発表時間には、多少のバラつきがあります。
そして、ある程度発表が遅れるときには、何かしらのサプライズがあってもおかしくないと考えましょう。
統計的に見ると、発表が遅かったときが、必ず何か発表があったときとは限りません。
現状維持の発表しかなかったという場合も、もちろんあります。
しかし逆に、何も大きな発表がなかったときは、ほとんどが13時までには発表されているケースが多いです。
12時~13時台に発表されるときは、どちらとも言えないので、ある意味1番ドキドキするタイミングと言っていいでしょう。
13時半ごろから、期待感はかなり高まりますが、前もってポジションを建てるというのは、あまりオススメできない手法でしょう。