FX分析の2大要素の1つであるファンダメンタルズ分析。 FX相場全体の値動きを知るための、核となる分析方法ですが、単体でFX取引を行うことには、どんなリスクがあるのでしょうか? ファンダメンタルズ分析だけで分析を行う、つまり“テクニカル指標を使わないFX取引”のリスクを解説します。
そもそも、ファンダメンタルズ分析だけのFX取引は可能?
結論から言うと、ファンダメンタルズだけでFX取引を進めて行くというのは、いくら知識が豊富なトレーダーであっても、不可能に近いです。
もちろん、FX相場が変動する原因は、ファンダメンタルズが全てと言っても過言ではありません。
特定の通貨が大量に買われたり、大量に売られたりするのには、もちろんファンダメンタルズ要因が絡んでいます。
そして、FX相場のほとんどを形成しているレンジ相場でも、細かく上下に動き続けています。
細かく動いているということは、何かFX相場に影響のあることが世界で起こっていて、それによって売るトレーダー、買うトレーダーが現れているということです。
もちろん中には、値ごろ感や勘だけで、ポジションを取ってしまうというトレーダーもいるでしょう。
しかしそのような取引は本当にごく少数で、結局FX相場が動くほどの取引にはなかなかなりません。
ファンダメンタルズはFX相場の変動要因のほとんどを占めているとはいえ、“ファンダメンタルズ分析だけでFX取引をしている”というトレーダーは、限りなく0に近いでしょう。
“ファンダメンタルズトレーダー”というのは確かに存在していますが、あくまでそれは“ファンダメンタルズ分析を主な手法としてFX取引を行っているトレーダー”という意味合いです。
テクニカル指標を使わないという選択肢は、FX取引においてまず存在しないということを理解しましょう。
ファンダメンタルズ分析だけ取り入れても、細かい動きには対応できない
例えば、ファンダメンタルズ分析の中で欠かせない経済指標である、米国雇用統計が発表されたときを想像してみましょう。
確かに米国雇用統計表は、アメリカの景気感を表す重要な指標であり、FX初心者であっても、FX取引に取り入れる必要性を十分に持っています。
雇用統計において、アメリカの景気が良くなっているという旨の発表がされたとしますね。
そうなるとFX相場は、米ドルを買う動きが過熱するというのが、一般的な考えです。
では、雇用統計の結果をそのまま受けて、米ドルの買いポジションを取ったとしますね。
しかし、それはあくまで“一般的、シンプル”な考え方であって、しっかりとFX相場を分析した行動とは言えません。
このように、有名な経済指標が発表された場合などは、ほとんどのトレーダーが、オーソドックスなFX相場の動きというのを熟知しています。
先ほどの場合だと、アメリカの景気が良いと発表されれば、多くのトレーダーが米ドルを買いに走るという動きが、ほとんどのトレーダーによって読まれているというわけですね。
そういう状況になると、必ずFX相場では、逆張りで利益を得ようと考えるトレーダーも多く現れます。
買いポジションを取ったのは良いですが、結局大した利益を得ることができず、なんなら損失を被ってしまう可能性もあります。
これは、ファンダメンタルズ分析の弱点が分かりやすく出た例と言えるでしょう。
FX相場全体の、“アメリカの景気が良くなれば、買いが多くなる”という予想はできますが、その後FX相場がどのように推移していくか、細かい予想は不可能なのです。
テクニカル指標は、単体でも利益を上げることができる
逆に、テクニカル指標だけを使ったFX取引と比較してみましょう。
テクニカル指標は、単純に指標の動き、特性などを生かして取引に生かしますので、“目に見える要素”しか、分析に取り入れられないことになります。
“目に見えない要素”が、ファンダメンタルズなのです。
極端な例で言うと、テクニカル指標で買いの大きなチャンスだというシグナルが出ているとします。
ここで、ファンダメンタルズを何も取り入れず、単純にポジションを取って、含み益を出したとしますね。
しかし、数分後に大きくFX相場は下降し、大きな含み損へと変わってしまいました。
実はこのとき、ポジションを建てた瞬間に、大きな経済指標が発表されていたのです。
このように、“目に見えない要素”によって、大きく形勢を変えられるというのが、テクニカルだけの取引の弱点です。
とはいえ、これはあくまで極端な例です。
テクニカル指標には、売買のサインとなる決まった動きや、目安となる数字もあります。
ですので、ハッキリ言って、テクニカル指標だけでFX取引を行っても、利益を上げることはできるのです。
ファンダメンタルズ分析は、単体ではエントリーポイントは捉えられません。
自分の取引にとって枷にしかならないので、必ず“FX相場全体の動きを把握する”という目的で、テクニカル指標と併用するようにしましょう。