FX取引を行うにあたって、トレーダーはいろんな選択を迫られます。 通貨ペアの選択のその1つで、通貨ペアによって目指すトレードスタイルには大きな違いがあります。 今回は、まず日本人トレーダーが最も選択している、“米ドル円”について解説してきましょう。 米ドル円の使ったFX取引は、FX初心者の登竜門とも言える、基本のスタイルです。
目次
流通量世界第2位と第3位を組み合わせた、王道の通貨ペア
アメリカの米ドルは、世界の“基軸通貨”とも言われている、安定感・影響力ともに最大の通貨です。
世界各国にトレーダーはいますが、この米ドルの動きを全く意識していないというトレーダーは、まずいないでしょう。
取引量も世界第2位を誇るので、非常に多くのトレーダーに取引されている通貨だということが分かります。
一方、日本円は、世界第3位の取引量を誇っています。
FX初心者は、まず日本円の取引量の多さにビックリするでしょう。
日本円は“安全通貨”としても有名で、世界的な金融危機が起こったときなどは、買われやすい通貨として有名です。
これら2つの、非常に影響力が高い通貨を組み合わせたのが、米ドル円という通貨ペアなのです。
流通量が高い通貨同士の通貨ペアなので、少しの動きでは流されにくく、FX相場の値動きが安定しているのが特徴です。
FX初心者が最初に選ぶことが多いというのも、値動きが少なく比較的予想がしやすい通貨であることが、理由として挙げられます。
“ユーロドル”の動きも、米ドルと並行して確認しよう!
先ほども少し触れましたが、米ドル円のチャートは、値動きが少なく、安定してキレイなチャートを描きます。
値動きが少ないということは、安全性が高いということが言えますが、悪く言えば、トレンドが見つけにくい通貨ペアでもあります。
値動きが少なく、よっぽどの出来事がない限り、大きなトレンドは発生しないので、ローリスクローリターンの通貨ペアであると言えるでしょう。
直近のトレンドの場所を見誤ると、FX相場の転換サインを見落としてしまうこともしばしばありますので、必ずしも安全というわけではありません。
米ドルはユーロドルと逆相関係にある
また米ドル円は、“ユーロドルと逆相関関係にある”という特徴があります。
つまりユーロドルが上昇すれば米ドル円は下がり、ユーロドルが下降すれば米ドル円は上がるという関係性です。
経済指標としてもっとも有名な“米国雇用統計表”が発表されたときは、米ドル円・ユーロドルという通貨が軸となって、FX相場が動きます。
この特徴は、世界的に知られているので、雇用統計発表時は“投機筋”の注文も多く参入してきます。
投機筋とは、ファンドなど法人単位で大きな利益を狙った取引のことで、このときの値動きは、もっとも信憑性の高いものだと言えるでしょう。
米ドル円が持っているその他の特徴を一挙に紹介!
また米ドル円は、“日経平均株価”とも関連性があると言われています。
日経平均株価は、日本の有名な上場株式の平均の株価であり、最も有名な“株価指標”です。
あくまで、ユーロドルとの逆相関を頭に入れておけば、それほど注意する必要もないですが、米ドルと日経平均は、連動するというケースもあります。
短期トレードではあまり見られませんが、長期のスイングトレードなんかでは、多少考慮した方が良いと言われています。
年単位などかなりの長期トレードにおいては連動性が上がる傾向にあり、ともに重要な価格帯からブレイクする動きが見られやすいです。
その他で言うと、米ドル円は要人発言、日銀政策発表などの影響も受けやすいと言えるでしょう。
日銀総裁の発言は、日本時間の11~15時ごろに発表されることが多いです。
FX市場が、発言に対してネガティブに捉えてしまうと、一気に売りに走り、ポジティブに捉えた場合は買いに大きく偏ります。
結論を言うと、米ドル円には特徴もありますが、クセが少なく、どんな時間帯でも安定したパフォーマンスが期待できます。
大きなトレンドが少なく、大きな利益を望むのは難しいかもしれませんが、スキャルピングからスイングトレードまで、あらゆるトレードスタイルにも対応していると言えるでしょう。
ポジションの深追いは禁物
かといって、もちろんポジションを深追いするのは禁物です。
一気に思いもしなかった価格まで、連れて行かれる場合があります。
FX市場が東京市場を迎えているころは、レンジ相場を形成しやすいですが、先ほどの要人発言などによって、1円以上の値動きを見せるという場合もあります。
米ドル=初心者向けというイメージが大きいですが、中には特徴を掴んで安定して利益を上げるまで、数年を要したというトレーダーもいます。
FX初心者は、まず最低限、“ユーロドルとの逆相関関係”を理解し、素直にそれに従うように、トレードを進めていけばいいと思います。
ここから、徐々に選択する通貨ペアのレベルを上げていくというのが、FX取引の正しい順序だと言えるでしょう。