日本人トレーダーにとって、最も馴染みがある通貨ペアは、米ドル円です。 では世界規模で見てみるとどうでしょうか? 今回紹介する通貨ペアは、世界一流通量の多い、“通貨ペアの王様”とも言える“ユーロドル”です。 ユーロという通貨の特徴も、合わせて紹介していきたいと思います。
目次
安全性が極めて高い“通貨ペアの王様”
まず、ユーロという通貨について解説していきましょう。
ユーロは、1999年に誕生した、EU加盟国が使用している通貨です。
流通量は世界一を誇っており、世界のトレーダーがFX取引に取り入れています。
統一通貨で、複数の国が利用しているため、必然的に流通量が多くなりますね。
しかしユーロは、“1つの国の通貨”と考えず、あくまで複数の国の影響を受ける通貨だと考えましょう。
EUという連合自体、未だに多くの問題を抱えています。
記憶に新しいところでは、イギリスのEU脱退というニュースもあり、これまでよりも安全性が疑われるようになりました。
それでも、流通量世界1位という事実に変わりはありません。
そして、ユーロドルでペアを組むのは、世界第2位の流通量を誇る米ドルです。
必然的に、“世界一取引量の多い通貨ペア”ということになり、FX取引において1番ポピュラーな通貨ペアです。
これが、“通貨ペアの王様”とも言える所以ですね。
米ドル円と同様に、チャートの動きは非常に穏やかな場合が多く、FX初心者でもチャレンジしてみる価値は大いにあります。
最初は米ドル円の取引から初めて、慣れてくれば徐々にユーロドルの取引を考えてもいいかと思います。
ユーロドルを使うなら、順張りを徹底して取引しよう!
ユーロドルの特性を理解して、FX取引に生かしましょう。
ユーロドルは、他の通過ペアよりもさらに、“トレンドに逆らわず取引する”ということが大事です。
つまり順張りが、ユーロドル取引における鉄則ということですね。
安易に抵抗を予想して逆張りをしても、ユーロドルにはストップを狩りにくるという特徴があります。
押し目を拾うのが難しいペア
そのまま上下にひげを作りながら動いていくので、押し目を拾うのが難しい通貨ペアと言えるでしょう。
短期トレードでは特に、逆張りするよりもストップ狩りをする方に回った方が、勝率は上がると思います。
ユーロドルの値動きがあまり得意ではないという人は、逆張りのポジションと取ってしまいがちというのも、1つ原因としてあるのかもしれませんね。
経済指標の代名詞である、米国雇用統計表が発表されると、ユーロドルは大きな動きを見せます。
高値を更新してから安値を更新、または安値を更新してからの高値更新という、値動きが大きいながらも大きな利益のチャンスが現れます。
このような値動きも、ユーロドルの動きにあまり慣れていない場合、上手く立ち回れないでしょう。
ずっとユーロドルを運用していれば、この値動きが、ユーロドルの“美味しいポイント”だということが、理解できてくるはずです。
逆相関関係を崩す“リスクオン相場”と“リスクオフ相場”って?
ユーロドルは、米ドル円と逆相関の関係にあります。
これを考慮しながら取引をすると、大分精度が上がることが期待できます。
9割以上のケースで、この逆相関の関係は守られることになりますが、それが崩れる場合があります。
それが、“リスクオン相場”、または“リスクオフ相場”と呼ばれるものです。
リスクオン相場とは、今後の成長を見込まれる新興国、またはリスクがあってもそれ以上にリターンがあると考えられる投資先に対して、資金が集まる相場のことを言います。
リスクオフ相場は、世界的な経済不安などによって、投資の動きが鈍化している相場のことです。
新興国、商品市場に資金が集まらないため、世界的に資金の巡りが悪くなってしまいます。
簡単に言えば、リスクオン相場は好景気、リスクオフ相場は不景気ということです。
いくら基本的に逆相関の関係と言っても、景気と通貨の流れは、常に密接な関係です。
リスクオン相場では、米ドルやユーロが多く買われる傾向にあるため、米ドル円とユーロドルの逆相関関係が、相関関係にもなり得るということです。
また米ドルは、世界の基軸通貨という観点から、リスクオフ相場でも買われることが多いです。
いきなり崩れてしまうケースもある
その他リスクオフ相場で人気があるのは、世界的に安全通貨の地位を築いている日本円、そしてスイスフランが挙げられます。
リスクオン相場で、米ドル円とユーロドルは相関関係になり得るという話をしましたが、それはリスクオフ相場でも同じことが言えます。
2008年に、リーマンショックという世界的な金融危機は発生しましたが、その当時には、リスクオフ相場でユーロドルと米ドルが揃って下落するという現象が、たびたび見られました。
9割以上の確率で、この2つの通貨ペアは逆相関関係ですが、それがいきなり崩れてしまうというケースもあるということを、頭の片隅に留めておきましょう。