FXで人気の通貨ペアは、何も流通量が多かったり、安定感があるだけが特徴ではありません。 ある程度リスクは孕んでいても、大きな利益を狙えるチャンス・特徴があれば、好んで選択するトレーダーは増えていくのです。 “ポンド円”はとてもリスクが大きい通貨ペアですが、使いこなせばFX取引の醍醐味が大いに味わえる通貨ペアと言えるでしょう。 FX初心者は、まずイギリスのポンドという通貨をあまり知らないと思うので、そこから順を追って解説していこうと思います。
目次
元々は“基軸通貨”として君臨していたイギリスのポンド
まずポンドという通貨から解説します。
イギリスの通貨であるポンドは、第二次世界大戦が勃発する前、世界の“基軸通貨”として、長い間歴史を持っていました。
つまり戦前は、現在の米ドルぐらいの立ち位置だったということです。
1998年にユーロが発足してから、その勢いが低下していき、現在はとても扱う難易度が高い通貨になってしまいました。
戦争以外でも、大規模な金融危機などで地位を少しずつ下げ続けていたことも、原因の1つです。
ポンド円は理想上通貨
FX市場の取引量としては、米ドル、ユーロ、円に次ぐ4番目の数字を誇っていますが、ヨーロッパ圏ではやはりユーロが圧倒的なので、なかなか価値を評価されていません。
ポンド円は、流通量の多い通貨同士の通貨ペアですが、先ほどのユーロの存在も相まって、“理論上通貨”とも言われる存在です。
ポンド円がある程度のリスクを持っているということについては、なんとなく分かって頂けたかと思います。
今度は、ポンド円という通貨ペアの特徴について解説していきましょう。
とにかく値動きが大きく、今後も勢いを増す可能性があるポンド円
ポンド円は、取引量の多い通貨ペアではありますが、非常に流動性の高い通貨ペアでもあります。
取引量が多ければ、多少のトレーダーの動きには影響を受けにくいので、流動性が低くなるというのが定石ですが、ポンド円は違います。
ポンド円は、1日の間でも大きく上下する通貨として有名です。
一定の方向に動き始めると、毎日のようにオーバーシュート気味なFX相場になることが多いです。
ですので、簡単にポジションを取ってしまったり、値ごろ感で行う逆張りを簡単に行うと、一気にダメージを食らう可能性が高いのです。
ポンド円の値動きの大きさを表す象徴的なFX相場は、2008年の10月に見られた1日で200pipsという大暴落が挙げられます。
イギリスはロンドンオリンピック以降、主に中国からの投資の動きが加速し、地価の上昇を理由に利上げの動きを始めていました。
他の先進国が揃って低金利の政策を打ち出していく中、ポンドだけは特殊だったと言えるでしょう。
安定感の欠如が目立っている
近年は、スコットランド独立問題や、イギリスのEU離脱問題など相次いで問題が発生し、安定感の欠如が目立っています。
ポンド円の変動要因、そしてイギリスの不安定な国勢が、今後も大きく値動きを大きくすることを示唆していると言えるでしょう。
デイトレーダーにとって、ポンド円は大きな利益を獲得できるチャンスも多い反面、タイミングを間違えると大変なことになります。
FX初心者でもデイトレーダーはもちろんいますが、“損小利大”のデイトレードには、あまりそぐわない通貨ペアかもしれませんね。
イギリスの経済指標もチェックしておく必要がある!
ポンド円が影響を受ける、経済指標の解説もしておきましょう。
イギリスの指標で言えば、BOE(イングランド銀行)が発表している政策金利や、インフレレポート公表が挙げられます。
イギリスのインフレ率が高い場合、政策金利は引き下げられる可能性が高いので、この2つの指標は連動すると考えておきましょう。
金利の引き上げがされると、ポンドが買われる動きが多くなるため、この通貨ペアでは円安になります。
イギリスという国は、政策金利よりも物価を安定させることに重きを置いています。
経済を成長させることや、雇用に関する指標は二の次になることが多いので、理解しておきましょう。
ポンド円は、簡単に言えば、“とにかく大きな利益のチャンスが欲しい”というトレーダーには持って来いの通貨ペアでしょう。
ポンド円のスプレッドは、近年かなり低水準化されており、2pips以下で取引できるところがほとんどです。
米ドル等に比べればかなり広く感じますが、大きな値幅を取るのに広いスプレッドは付き物と言えるでしょう。
スキャルピングも可能なぐらいのスプレッドですが、値動きの大きさを考慮すると、ある程度FX相場と向き合う時間がある、デイトレードの方が、まだリスクは少ないでしょう。
言ってしまえば、値動きの大きい通貨ペアは、どのトレードスタイルでも決して“やりやすい”とは断言できません。
ポンド円を取引するときは、とにかく強制ロスカットを食らわないように、ストップロス注文をしっかり出しながら、二の矢、三の矢でカバーしてくようにしましょう。