現代では世界規模で見ても、低金利政策を打ち出す国が多いです。 特に、先進国はその動きが顕著だと言えるでしょう。 日本円も、長い間低金利が続いている国の1つで、FX市場だけでなく、“超低金利通貨”とまで言われています。 日本円がなぜ、ここまで低金利になってしまったのか? その他、FXにおける低金利の日本円ならではの使われ方や、他の低金利通貨に関しても紹介していこうと思います。
目次
日本は低金利を続けざるを得ない状況に苦しみ続けてきた
日本は、世界的な低金利政策の先駆けとも言われている国です。
1つ大きなポイントとして言えるのは、1999年に打ち出された日銀による“ゼロ金利政策”です。
ゼロ金利政策は、日銀が金利をなるべくゼロに近づけて、金融政策に役立てようという目的で打ち出されました。
日銀は、期間の短い金利を操作することで有名で、現在でもFXを含めた“無担保コール翌日物”の金利操作、つまり介入を行っています。
そもそもゼロ金利政策を行う理由は、1998年に日本の国債が急落したというのが原因でもあります。
長期の金利の上昇を抑えるために、ゼロ金利政策は短い金利で行われたということです。
1990年代後半のバブル崩壊によって、銀行は多くの不良債権を抱えて、いくつも倒産や破産を繰り返しました。
それがデフレの始まりで、2000年にはこのゼロ金利政策を、1度解除せざるを得ない状況になりました。
しかしまたしても、ITバブルの崩壊によってデフレへの懸念が高まり、景気はどんどん悪くなっていきました。
日本円がずっと低い金利の状態なのは、このようにここ数年、金利を引き上げるタイミングが全くなかったという理由に他ならないのです。
0.5%まで短期金利引き上げを目標にしましたが、リーマンショックなどその後も大きな金融危機の影響を受け、未だに達成に至っていないのが現状です。
日本円は低金利通貨としてFXで機能することが多い
日本円は低金利通貨であるというのは、“超低金利通貨”という言葉があるところからも分かるように、世界中のトレーダーが理解しています。
認識としては、“高金利通貨=豪ドル”に近いぐらいのレベルで、“低金利通貨=日本円”というイメージが強いです。
豪ドル円という通貨ペアが、世界中のトレーダーに取引されているというのも、日本円の特徴が認知されている証拠でしょう。
現代のFX取引では、日本円は低金利通貨として、スワップトレードで活躍する機会が増えています。
過去のFX取引で言うと、1990年代には、世界的に“日本円を使ったキャリートレード”が流行しました。
キャリートレード手法は衰退している
キャリートレードとは、まず金利の低い通貨を借り入れるところから始まります。
それを売ったあと、高金利通貨の金融商品に、その資金を投資するという手法です。
リーマンショックが起こって以降、米ドルの金利も下がってしまったため、現在は衰退しているトレード手法です。
キャリートレードに必要なのは、金利が低く、そしてある程度の安定性と流動性がある通貨です。
当時のFXにおいて、日本円はその条件に、ピッタリ当てはまった通貨だったということですね。
完全に途絶えているわけではなく、近年でもFX市場において、豪ドル円のキャリートレードなどは、また復活する兆しを見せている状態です。
日本円以外の低金利通貨って、どんなものがあるの?
日本円以外にも、世界的に低金利通貨として、認知されている通貨はあるのでしょうか?
真っ先に名前が上がるのは、“スイスフラン”でしょう。
スイスフランは、日本円といくつかの共通点があります。
まず、スイスと言う国は、“永世中立国”として知られ、テロや戦争に巻き込まれる可能性が、世界一少ない国と言えるでしょう。
日本という国も、戦争やテロのリスクは低く、“安全通貨”として、この両通貨は認識されているという共通点があります。
そしてもう1つが、超のつく低金利通貨という点です。
スイスフランの金利は、日本の0.1%を下回ることもあり、マイナス金利に達したこともあります。
スイスフランは安全な通貨の一つ
またスイスフランは、金利が低く、安全性が高いだけではありません。
日本人トレーダーでは、それほどFX取引で利用されていませんが、世界規模で見るとヨーロッパを中心に、多くのトレーダーの間で取引されています。
つまり、安全性とある程度の流動性を兼ね備えた通貨だということです。
スイスフラン円という、安全通貨・低金利同士の通貨ペアも存在するぐらいです。
このように、日本円以外にも、世界には低金利通貨が存在しています。
そしてこのような通貨は、日本円と同じように、キャリートレードでも重宝されています。
豪ドル円、NZドル円、トルコリラ円など、スワップトレードでは、高金利通貨のシャッフルにばかり目が行きがちです。
しかし日本円以外にも、スワップトレードに生かせる通貨はあるということです。
スイスフランは、取引量も多いメジャー通貨なので、1度スワップトレードに取り入れてみても面白いと思います。