FXだけに限らず、米ドルという通貨は、世界的な影響力を持っている“基軸通貨”です。 そもそも、なぜ米ドルは基軸通貨という扱いになったのでしょうか? そして、基軸通貨というものの歴史には、一体どんなものがあるのでしょうか? 米ドルの細かい情報も、一緒に解説していきます。
FX取引を行うにはすべてドルを通さなくてはいけない
基軸通貨は、国際間の決済、金融取引の決済に使用される国の通貨のことを表します。
FX取引でもそれは例外ではなく、米ドルが絡んでいない通貨ペアを使用したとしても、必ず1回米ドルに交換してから、換金する必要があるのです。
米ドルが絡んでいる通貨ペアが“ドルストレート”と呼ばれるのは、米ドルが絡んでいれば、両替する必要なく、“ストレート”な換金ができるという意味なのです。
貿易の際にも使われますし、何と言っても米ドルは、有事のときに購入されやすい“安全通貨”としての一面も持ち合わせています。
2001年に発生した“アメリカ同時多発テロ”以降、米ドルの信頼性は下がりつつあると言われていますが、未だに基軸通貨として君臨しているのが現状です。
そもそも、アメリカという国はそれほど歴史の深い国ではありません。
元々世界の基軸通貨として君臨していたのは、イギリスのポンドです。
19世紀ごろ、イギリスは“世界の工場”と言われるほど経済が盛んで、世界の先導している国でした。
第一次世界大戦、第二次世界大戦を経て、ヨーロッパの国々が衰えてきたタイミングで、アメリカが徐々に頭角を現してきたのです。
第二次世界大戦の時期には、すでに米ドルの基軸通貨としてポジションは、決定的になっていました。
通貨の特徴に隠された米ドルの基軸通貨たる所以
米ドルが基軸通貨である所以は、米ドルの特徴にも秘密が隠されています。
まず米ドル円は、流通量が非常に多いので、値動きが安定しています。
急にFX相場が上がったりと、予想外の大きな値動きは、よっぽどのことがない限り発生しません。
またアメリカが発表する経済指標は、いち早くFX市場に入ってくるというメリットがあります。
もちろんアメリカの経済指標が与える影響は、米ドルに対してだけではありません。
だからこそ、世界中のFXトレーダーは、アメリカの経済指標に注目しているのです。
要人発言も、FX取引をする上で外せない要素ですよね。
米ドルは安全資産
そして米ドルは、有事のときのために蓄えておく“安全資産”として有名な金(ゴールド)と、相反関係の動きを見せるのも特徴です。
戦争や天災など、経済が不安定になる要素というのはたくさんあります。
米ドルが基軸通貨として、絶対的な地位を築いていたころには、“有事のドル買い”と言って、ドルを持つことで安全を確保するという動きがありました。
この有事のドル買いという言葉は、現在でもFX市場で広く認識されていますが、先ほども話に出たように、アメリカ経済は少し力が弱くなってきています。
それはもちろん、アメリカ同時多発テロの影響も大きいのですが、ここ何年かで米ドルは、金(ゴールド)にその立場を奪われている感があります。
“有事の金買い”として、金の価値が高まり、ドルの安全資産としての価値が、それと相反して衰退しているという現象が起きています。
とはいえ、元々基軸通貨としての大きな力を持っていないと、ここまで話題にすらならないことなので、米ドルの力の強さが分かる特徴ですね。
米ドルを採用しているのはアメリカだけではない!
米ドルは、アメリカ以外の国でも採用されているということはご存じですか?
ドルと名の付くもので言えば、カナダドル、豪ドル、NZランドドル、香港ドルなどがありますが、これらの通貨は、米ドルとは全く別物です。
米ドルの流通量が多い理由は、米ドル以外でも通貨として採用されているというのが大きいです。
南米系の国に多く、エクアドルやパナマ、東ティモールなどが米ドルを採用しています。
そして、他に代名詞が多いのでイメージは薄いかもしれませんが、米ドルは非常に金利が低いです。
金利がほぼゼロに近い
近年アメリカ経済は、日本経済と同じようにデフレが続いていて、金利はほぼゼロに近いです。
現時点で、米ドルを買い建てしたときのスワップ金利は、ほとんど獲得することができないでしょう。
そしてアメリカ経済は、リーマンショックやサブプライム問題など、世界的に影響を与えた金融政策を行ってきました。
これらは、アメリカが何とか不況から脱却しようと試みた結果の金融緩和です。
しかし悲しいかな、これらの金融政策が終了すると、FX市場はドル高傾向になるのです。
これは金融政策の効果がないのではなく、アメリカ経済が好調になり、他国の経済が低調になるということが関係しています。
米ドルは、値動きが少ないので、FX取引がムラなく行える可能性が高い通貨です。
リスクも多少はありますが、リスク自体も分かりやすいものが多いので、米ドルの調子が悪くても、対策は取りやすいと言えるでしょう。