FX取引では、通貨の“流動性”という要素が、重要視される場面が多いです。 通貨の流動性とは、具体的にどのようにFX市場に影響が出るのでしょうか? 一般的に、流動性が高い市場は、FX取引がしやすいと言われています。 逆に流動性が低い市場は、難易度が上がります。 その原因は、FX市場のいろんなところに潜んでいると言えるでしょう。
目次
FX市場における“流動性リスク”を考える
まず“流動性”とは、FXで言うと、取引しているトレーダーがどれくらいいるか、またどれぐらい通貨が市場に流通しているか、あとは売買システムがどれくらい整っているかなどを中心に考えられます。
対象の通貨が、どれくらい交換しやすいか、つまりFX取引をしやすいかということを指しています。
冒頭で言った、取引のしやすい通貨が“流動性が高い”、取引の難しい通貨が“流動性が低い”ということになるわけですね。
流動性の低い通貨、市場では、ときに思った通りに取引ができないという現象に見舞われます。
“流動性リスク”として、FX取引において注意されている要素です。
国自体に不安がある通貨は流動生が低くなる
FX取引には、必ず買い手と売り手がいます。
買いたいという人が少なければ、売りの取引はなかなか成立せず、売りたいトレーダーが少ない場合は、買いの取引が成立しにくいです。
FX相場の状況によって、ある程度はどの市場でも発生することはありますが、基本的に国自体に不安がある通貨は、流動性が低くなりがちです。
では、我らが日本を含めた、先進国の通貨・市場ではどうでしょうか。
先進国通貨を選択すれば、どの市場でも流動性リスクは低い
米ドル、日本円、ユーロなどは、世界的に取引量が多く、総じて流動性リスクが低いといえる通貨でしょう。
東京時間は値動きが穏やかですが、夕方になればロンドン市場がオープンし、夜になればニューヨーク市場がオープンします。
東京時間だけで言うと、流動性リスクは考えられますが、日本人トレーダーが主にFX市場に参戦するのは、ロンドン時間~ニューヨーク時間が中心です。
ですので、ロンドン時間~ニューヨーク時間は、世界でもっとも流動性リスクが低い市場と言え、取引が成立しないということは、ほとんどありません。
また、先進国の通貨は、FX取引において世界的にその価値が認識されているため、普段から“売りたい”、“買いたい”というトレーダーで溢れています。
売れないということもなければ、なかなか手に入らないというケースもないのです。
日本人トレーダーは、トレーダーの約6割を占めているため、日本円の流通量が多いのはそのためです。
米ドルは、採用している国がアメリカだけではなく、ユーロもEU加盟国の数ヶ国が採用しているため、必然的に流通量が多くなるというわけです。
先進国は売買システムがしっかりしている
そして先進国通貨の市場では、売買システムもしっかり完備されています。
約定力が高いFX会社も多いので、FX相場にもし想定外のことが起こっても、柔軟に対応してくれます。
取引相手の有無、そして流通量と売買システム、すべてを先進国通貨の市場は兼ね備えているので、トレーダーは自分の実力を、余すことなく反映させたトレードが可能になるのです。
言い方は悪いですが、中途半端な立ち位置なのが“オセアニア市場”でしょう。
豪ドル、NZドルは有名ですが、先ほどの先進国通貨と比べて、それほど流通量が高くありません。
実はヨーロッパ通貨のスウェーデンクローナなどの方が流通量が多く、世界的に流通量が多い通貨である、“ハードカレンシー”には含まれていないのです。
資源国通貨としての安定感は持っていますが、流動性リスクを孕んでいることは頭に入れておきましょう。
安易にメリットだけ見て、新興国通貨を選択しないように!
流動性リスクが高い通貨と言えば、やはり“新興国通貨”でしょう。
価値が認められているわけでもなく、世界的に見れば圧倒的に流動性が低いです。
南アフリカランド、トルコリラなどは、その金利の高さから、低金利通貨と組み合わせるスワップトレードが一般的になっています。
しかし、日本以外ではFX取引すらできない通貨も、新興国通貨には多いです。
取引できる相手が限定されており、FX取引がなかなか成立しないというケースがしばしば見られます。
エキゾチック通貨は流動生が低くリスクがある通貨のこと
また流動性が低いと、手に入れるのが難しいというリスクもあります。
売買システムに関しても、まだまだ整っていない部分が多く、FX相場の有事に迅速に対応することはなかなか難しいです。
先ほどのハードカレンシーとは真逆で、価値が低く流動性リスクを多く孕んでいる通貨は、“エキゾチック通貨”と呼ばれています。
FX取引をする上で、リスクヘッジという考え方は基本です。
それは、通貨ペア、取引する市場を選択する時点で、すでに考えておかないといけないことです。
メジャー通貨は“有名な通貨”という意味ももちろんありますが、FX市場での本当の価値は、他の通貨と比較することで表面化してきます。