FXという取引は、“投資”の1つとして、現在はカウントされることが多いですが、“FXは投機だ”という意見も根強いのが現状です。 “投機的な取引”という言葉を、FXをしていればたびたび見かけることもあるかもしれませんが、そもそも投資と投機の違いを、みなさんは理解しているでしょうか? それが分かれば、FXが投資とも投機とも言われている理由が、少しずつ分かってくることだと思います。
“投資”という言葉が使われるのはどんな取引?
まず“投資”から説明します。
資産運用は全般的に投資というイメージがありますが、実はその中で投資と投機に細分化することができます。
投資とは、簡単に言えば“未来に賭けてみる”ということですね。
未来に見返りが返ってくると予想したものに対しての、資金援助みたいな感じでしょうか。
そして投資は基本的に、win-winの関係でないと成立しません。
投資される側は資金を手に入れることができ、投資家側は将来的に、多くの資金が返ってくるかもしれない。
投資を行うことで、どちらも得をすることが考えられるのです。
例えば企業の設備投資なんかでは、投資の力が非常に役立ちます。
設備を整える資金がなければ、その企業にいくら将来性があっても、なかなか収益を上げることはできません。
その部分を投資で補うことによって、企業はもともと持っている企業の力を、時間を無駄にすることなく発揮できると考えられます。
金銭の面での見返りだけでなく、“将来的に良くなるだろう”というものにお金を使うことは、なんでも投資と呼べるでしょう。
将来のことを考えて車を購入したという場合でも、将来結婚して、子供ができれば、家族でドライブを楽しむことができますよね。
金融取引だけでなく、こういう投資の形もあるのです。
“投機”は利益を狙ってそれぞれが行う“奪い合い”
一方で、“投機”について考えてみましょう。
投機は、基本的にwin-winの関係にはなり得ません。
簡単に言えば、“お金儲け”が目的の取引が投機にあたります。
FXで言うところの“投機的な取引”とは、ファンドなど法人単位の、大口のトレードが多いです。
それは、“ここで大口のFX取引をすれば、大きな利益を得ることができる”という考えの元、法人が取引を行っているのです。
自社の利益を考えた取引のため、“投機的な取引”という表現がされるのです。
投機は投資とは違い、こういった取引の場面でしか使いことはあまりない言葉です。
“お金儲け”という言葉を聞くと、ネガティブでダーティなイメージが付いてしまうかもしれませんが、実際そんなことはありません。
投機が経済の流動性を生み出しているとも言えるので、経済の活性化のためには必須なのです。
例えばFXで考えてみると、ある通貨ペアを買いたい人が溢れても、売りたい人がいなければ、なかなか取引が成立しませんよね。
そういう場合、投機的な取引がFX市場に入ると、流動性が高まって取引が成立しやすくなります。
このように投機は、場合によって実需だけで構成された市場を、規模の大きいものにしてくれる働きがあるのです。
FXは“投資”なのか“投機”なのか。冷静になればすぐ分かる
では結局、FXはどちらに分類されるのでしょうか?
それを紐解くには、“ゼロサムゲーム”という考え方を知れば分かります。
ゼロサムゲームとは、参加者全員の利益、そして損失が相殺されるゲームのことを言います。
つまり、誰かが得をした分だけ、他の誰かが損をするというケースです。
FX取引は、例えば円安で買いポジションを取っていた人は得しますが、そのとき売りからエントリーしていたトレーダーは、損をします。
つまり、FXはゼロサムゲームというわけですね。
先ほども少し話ましたが、FXが“投資”を名乗るのであれば、ゼロサムゲームであってはいけません。
ゼロサムゲームはどちらも得をするwin-winの関係ではなく、必然的にFXは“投機”に分類されることが多くなります。
“FX投資家”という肩書きも、正確に言うと“FX投機家”なのです。
投機は、先ほども紹介したように、ファンドの大口取引など、あまり金融取引において良いイメージのない言葉です。
ですので、それを嫌って“FX投機家”と名乗る人は少ないというのも考えられます。
実はFXが“投機”というのは、多くのトレーダーの間で認識されている事実です。
細かい利益を、何回取引することで得ようとするスキャルピングも、よく考えれば“投機の典型”とも言えるトレードスタイルでしょう。
法人単位の大口トレードが“投機的”と表現されるのは、“そのような大口のトレードが投機だ”というイメージが、強く認識されているからではないでしょうか。
冷静に考えれば、FX取引は、トレーダー誰もが“利益を得るために行っている”取引です。
それが悪いことだとは言いませんが、少なくともFXは投機で、市場での資金の奪い合いであることは、事実だと言えるでしょう。