FXと密接な関係がある、“購買力平価”について解説しましょう。 購買力平価とは、現在の為替レートにおいて、“本当にこの価値は妥当なのか?”ということを判断できる方法です。 実際トレーダーは、この購買力平価を知っていなくても、FX取引で利益を上げることは可能です。 具体的な内容を確認してきましょう。
購買力平価の代表的指数である“ビッグマック指数”
購買力平価とは、“長期のスパンで見た為替レートの決定理論”と言われています。
つまり購買力平価の知識を知っていた方が、長いスパンで見ればFX取引では有利ということですね。
国が変わっても、同じ商品であれば必然的に、同じ価格であるという法則がありますが、これを基に、FXレートが適正かどうかを考えるのが、購買力平価の正しい使い方ですね。
この購買力平価に使われる代表的な指数が、“ビッグマック指数”です。
マクドナルドの商品であるビッグマック各国の価格を基に、2国間のレートが適正がどうかを判断できる指数です。
なぜ、ビッグマックがその対象商品に選ばれたのでしょうか?
まずマクドナルドという企業が、進出している国を圧倒的に持っているという理由があります。
その中でもビッグマックという商品は、世界共通でマクドナルドのレギュラーメニューとして販売されています。
そしてビッグマックの品質は世界中ほとんど同じで、単価を決定する材料として、さまざまな要素が含まれています。
原材料の価格や、店舗の家賃、光熱費や従業員のコストも考えて決定されているので、その国の購買力をトータルで評価しやすいというのが、ビッグマックが選ばれた理由です。
ビッグマック指数で為替レートが適正か考えてみよう
では、購買力平価の代表である“ビッグマック指数”を使って、FXのレートを考えてみましょう。
北欧地方の国は、物価が非常に高いことで有名です。
その中でもスイスは、2017年現在、ビッグマック1個の値段が762円と破格に設定されています。
日本が現在380円ですので、日本が非常に物価の低い国に感じますね。
このようにビッグマック指数は、ランキングを見るだけでも、各国の物価の状況が一目で分かるため、とても効果的な指標だと言えるでしょう。
米ドル円の適正なFXレートを考えてみるとします。
例えば2015年の価格で言うと、日本のビッグマックの価格が370円ですから、日本とアメリカで同じ価格のビッグマックが売られているとすると、370円=4.79ドルという計算になります。
つまり、この当時では1ドル=77.24円というのが、適正なレート水準だったわけです。
しかし実際の当時のレートは、1ドル=118.31円でした。
なんと約41円円安相場であったということになりますね。
しかもこのまま円安は進み、一時は1ドル=120円台まで乗ったので、実際の為替レートとは大きく乖離していたという状況が分かります。
購買力平価を利用すれば、“現在のこの通貨ペアのレートは円安だ”、“円高だ”ということが、すぐに分かるというのは、分かって頂けたでしょうか。
このレートであれば、ビッグマックの価格が修正されない場合、適正なレート水準にはならないということですね。
現在のFXでは“相対的購買力平価説”を取り入れることが多い
先ほど紹介したビッグマック指数は、2ヵ国の通貨間で決定されるという“絶対的購買力平価説”と呼ばれるものです。
実際にこの説が成り立つには、実は貿易などの自由化が必要であり、厳密に言えば成り立つことがない説だとも言われています。
購買力平価は、FXのレートにおける“絶対値”はなく、あくまで“傾向”だということを理解しておきましょう。
日々変わっていく数字であるため、ずっと同じ数字に固執しているというのは、あまり良くないことです。
購買力平価として最も採用されやすいのは、実はビッグマック指数のような“絶対的購買力平価説”よりも、2ヶ国の物価の上昇率を加味した“相対的購買力平価説”です。
例えばFXのレートは、長期的なスパンで見て、購買力平価が成立しない状況が続いた場合、同じ商品に対して、両国の間に大きな物価の差ができてしまいます。
このように、購買力平価が釣り合わない状況が、10年や20年という長いスパンで続くというのは、考えにくいとされています。
ですのでいずれは、この物価の差を埋めるような動きを、FXレートが見せるという予想の仕方になります。
アメリカで売られているバッグが1,000ドルに対し、日本は1ドル120円のレートで、12万円で売られているとしましょう。
アメリカでのインフレ率が2%、そして日本でのインフレ率が0%という状況が、20年続いたとします。
このような状況だと、日本で買ったバッグをネットでアメリカに売ることで、日本人は永遠に利益を手に出来ることになりますね。
このようなケースをさけるために、裁定取引や、円高に進むようなレートの調整が、どこかで必ず行われるようになると考えられます。